コリアニュース №423(2011.4.21)
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オバマ大統領の空虚な強硬パフォーマンス
 4月18日ホワイトハウスは、オバマ大統領が朝鮮民主主義人民共和国からの新規の輸入を全面禁止する大統領行政命令に署名したと発表したが、その骨子は「朝鮮からの商品、サービス、技術などの米国へのあらゆる輸入を原則的に全面禁止する」というものである。過去数十年間、朝鮮から米国への輸入は皆無であったので、これはまったく実効性の無い空虚な措置だといえる。これはかえって、軍事力の行使以外に米国が取れる実効性のある強硬措置がないことを反証している。

 一方で米国政府は、3月に朝鮮の貿易省と金属工業省、農業省、財政省の局長級代表団(12名)の入国と2週間の滞在を認めたばかりか、5月末から6月初めまで訪米する朝鮮のテコンドー代表団や2月についで5月に訪米する朝鮮の金策工業総合大学の教員を中心とする科学者代表団の入国ビザも発給するという。上述のホワイトハウスの発表の翌日には、ロバート・キング対朝鮮人権問題担当特使が米国務省でわざわざ南朝鮮と日本の記者たちと会見し、朝鮮への食糧支援について「真剣に検討している。どのような形でも、今回の行政命令が食糧支援問題決定に影響を及ぼすことはない」と強調したという。

 周知のように、カーター元大統領が元国家元首たちのクラブ「エルダーズ・グループ(Elder’s Group)」のメンバーであるロビンソン元アイルランド大統領、ブルントラント元ノルウェー首相、アティサリ元フィンランド大統領とともに今月26日から2泊3日の予定で訪朝することになっているが、米国政府は「あくまで民間レベルの私的訪問」と強調している。しかし、米国の元大統領が政府の許可なしに敵対国を訪問できるはずがない。南の京郷新聞(4月21日付)によると、カーター訪朝団の実務陣がすでに先月22日~25日にピョンヤン入りし朝鮮側と金正日総書記との会談実現を前提に議題と日程などについて事前協議を行ったという。もし、カーター元大統領一行と金総書記との会談が実現した場合、彼が朝鮮の最高指導者のメッセージを持ち帰る可能性もあり、オバマ大統領としても無視することが出来なくなるであろう。何らかの形で話を聞こうとすることは間違いない。

 前号(No.421)と前々号(No.422)でも明らかしたように、朝鮮と中国、米国との間では南北→朝米→6者代表者会談という「3段階構想」が話し合われ、その実現に向けた駆け引きがすでに始まっているようだ。4月30日には、2月28日から強行された米「韓」合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」も終了する。

 朝鮮半島をめぐる情勢も5月からいよいよ、対話モードに入る気配がうかがえる。その意味で、今回のオバマ大統領の行政命令は、いままで強硬策に固執して何の成果も上がらず対話モードに入らざるを得なくなった自分のメンツを保ち、強硬姿勢に盲従してきた日本や南朝鮮への体裁を取り繕うための「空虚な強硬パフォーマンス」であったのかもしれない。そうなると、南朝鮮や日本政府は困ることになろう。とくに、米国や南朝鮮よりも強硬な制裁措置を取りながら、朝鮮側とは対話のパイプもない日本政府にとっては厄介なこととなろう。(了)
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