コリアニュース №562(2014.10.23)
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ジュネーブでの朝米基本合意20周年を契機に見えてきた朝米対話と6者会談再開の兆し

 1994年10月にジュネーブで調印された朝米基本合意から20年となった10月21日、金正恩泰一書記はオバマ米大統領の要請を考慮し、6か月前朝鮮を旅行中に法を犯して拘束された米国人ジェフリー・パウルを釈放し即日、米側に引き渡した。

 これを受けケリー米国務長官は22日、ドイツの「ベルリンの壁記念館」で行ったドイツのシュタインマイア外相との共同記者会見で、パウル氏の無条件釈放を肯定的に評価しながら、「北朝鮮が出来るだけ早く、残り2人の米国市民を釈放するなら、その恩恵を受けることになろう。

われわれも対話に戻ることを希望している。

今後数週、数ヶ月後、状況が進展し対話に戻れることを望んでいる」と言明した。

一方、米情報機関で30年以上も朝鮮民主主義人民共和国の情報収集担当官を務め、今年の9月に国務省の6者会談担当特使に就いたシドニー・サイラー前国家安全保障会議(NSC)朝鮮半島担当部長は、21日にワシントンのカーネギー平和研究院で開かれた朝米基本合意20周年記念セミナーで、6者会談再開の前提条件を問われ、「北朝鮮が会談復帰を宣言し、核とミサイル実験を止め、核活動を中止するシナリオを想像してほしい。

世界は、北朝鮮の態度に根本的な変化があると見るだろう」と述べた。

そして、「米国の目標は、『完全かつ検証可能で不可逆的な核の廃棄』だが、現実的な非核化の経路があると考えている」としたうえで、「核物理学者のジグフリード・ヘッカー博士が指摘したように、核爆弾をこれ以上造らず(No more bomb)、核実験を行わず(No testing)、核関連技術を輸出しない (No export)ことから始めることができる」と主張した。

さらに、サイラー特使は「われわれは依然として柔軟である。

われわれは対話自体や議題に前提条件を付けず、北朝鮮の要求事項と不満に耳を傾ける準備が出来ている」とまで言い切った。

ただ、「問題は北朝鮮がわれわれの提案に反応していないことだ」と苛立ちも見せた。

 ケリー国務長官とサイラー特使が言明したことが米政府の統一見解であるなら、6者会談の無条件再開を主張する朝鮮とそれを支持する中国やロシアと意見が一致することになり、朝鮮側もそれに反応する可能性は高い。

今回の米国人の釈放がその最初のステップなのかもしれない。

朝米間の今後の動きが注目される。

(了)

●「朝鮮中央通信社」(日本語) http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=jp

●エルファテレビ  http://www.elufa-tv.net/


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