コリアニュース №749(2018.7.9)
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朝鮮外務省スポークスマン談話 信頼構築の最優先と段階的な同時行動原則が非核化の近道

朝鮮外務省スポークスマンは、朝米首脳によるシンガポール共同声明履行のため6日~7日に平壌で行われた朝米高官級会談について以下のような談話を発表した。

(全文)  歴史的な初めての朝米首脳の対面と会談が行われた後、国際社会の期待と関心は朝米首脳会談の共同声明履行のための朝米高位級会談に集まった。

われわれは、米国側が朝米首脳の対面と会談の精神に即して信頼の構築に役立つ建設的な方案を持ってくるだろうと期待し、それに相応する何かをする考えもしていた。

しかし、6日と7日に行われた初の朝米高位級会談で見せた米国側の態度と立場は、実に残念極まりないものだった。

わが方は、朝米首脳の対面と会談の精神と合意事項を誠実に履行する変わらない意志から、今回の会談で共同声明の全ての条項のバランスの取れた履行のための建設的な方途を提起した。

朝米関係改善のための多面的な交流を実現する問題と、朝鮮半島での平和体制構築のためにまず朝鮮停戦協定締結65周年を契機に終戦宣言を発表する問題、非核化措置の一環としてICBMの生産中断を物理的に実証するために、高出力エンジン試験場を廃棄する問題、米軍遺骨発掘のための実務協商を早急に始める問題など、広範囲な行動措置を各々同時に取る問題を討議することを提起した。

会談に先立ち、朝鮮国務委員会の金正恩委員長がトランプ大統領に送る親書を、委任によってわが方の首席代表である金英哲党副委員長が、米国側の首席代表であるポンペオ国務長官に丁重に伝達した。

国務委員長は、シンガポールでの首脳会談を通じてトランプ大統領と結んだすばらしい親交関係と大統領に対する信頼の感情が、今回の高位級会談をはじめ今後の対話過程を通じてさらに強固になるとの期待と確信を表明した。

しかし、米国側はシンガポールにおける首脳の対面と会談の精神に背き、CVIDだの、申告だの、検証だのと言いながら、一方的で強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した。

情勢の悪化と戦争を防止するための基本問題である朝鮮半島の平和体制構築問題については一切言及せず、すでに合意された終戦宣言問題までいろいろな条件と口実を並べ、遠く後回しにしようとする立場を取った。

終戦宣言を一日も早く発表する問題について言えば、朝鮮半島で緊張を緩和し、強固な平和保障体制を構築するための最初の工程であると同時に、朝米間の信頼構築のための優先的な要素であり、70年もの間続いてきた朝鮮半島の戦争状態にピリオドを打つ歴史的課題として、北南間の板門店宣言にも明示されている問題であり、朝米首脳会談でトランプ大統領がより熱意を見せた問題である。

米国側が会談において最後まで固執した諸問題は、過去、以前の行政府らが固執して対話の過程を台無しにし、不信と戦争の危険だけを増幅させた癌的存在である。

米国側は今回の会談で一つや二つの合同軍事演習を一時的に取り消したことを大きな譲歩のように宣伝したが、一挺の銃も廃棄せず、全ての兵力をそのままの位置に置いている状態で、演習という一つの動作だけを一時的に中止したのは、いつでも任意の瞬間にふたたび再開されうる可逆的な措置として、われわれが取った核実験場の不可逆的な爆破廃棄措置とは比べものにならない問題である。

会談の結果は、極めて憂慮すべきものだと言わざるを得ない。

米国側が朝米首脳の対面と会談の精神に合致する建設的な方案を持ってくるだろうと考えていたわれわれの期待と希望は、愚かだと言えるほど純真なものであった。

古い方式では絶対に新しいものを創造することができず、百戦百敗し腐り果てた古い方式を踏襲すれば、また失敗するしかない。

朝米関係史上、初めてとなるシンガポール首脳会談で短時間に貴重な合意が成し遂げられたのもまさに、トランプ大統領自身が朝米関係と朝鮮半島の非核化問題を新しい方式で解決しようとしたからである。

双方が首脳級で合意した新しい方式を実務的な専門家レベルで投げ捨て古い方式に戻るなら、両国人民の利益と世界の平和と安全のための新しい未来を開こうとする両首脳の決断と意志によってもたらされた世紀的なシンガポール首脳会談は無意味なものになってしまうであろう。

今回の初の朝米高位級会談を通じて朝米間の信頼はより強固になるどころか、むしろ確固不動であったわれわれの非核化意志が揺さぶられかねない危険な局面に直面した。

われわれはこの数カ月間、できる限りの善意の措置を先に取りながら、最大の忍耐心を持って米国を注視してきた。

しかし、米国はわれわれの善意と忍耐心を誤って理解したようである。

米国は、自らの強盗的心理が反映された要求条件までも、われわれが忍耐心から受け入れると見なす根本的に間違った考えをしている。

朝米間の根深い不信を解消して信頼を構築し、そのために失敗だけを記録した過去の方式から大胆に脱し、既成に縛られない全く新しい方式で解決していくこと、信頼醸成を優先させながら、段階的に同時行動の原則に基づいて、解決可能な問題からひとつずつ解決していくのが朝鮮半島非核化実現の最も速い近道である。

しかし、米国側が焦燥感にとらわれ以前の政権が持ち出していた古い方式をわれわれに強要しようとするなら、問題の解決に何の助けにもならないであろう。

われわれの意志とは別に、非核化の実現に当てはまる客観的環境が醸成されないなら、むしろ良好に始まった双務関係発展の気流が乱れる可能性がある。

逆風が吹き始めれば朝米両国にはもちろん、世界の平和と安全を願う国際社会にも大きな失望を与えかねず、そうなれば互いが必然的に他の選択を模索することになり、それが悲劇的な結果につながらないという担保はどこにもない。

われわれは、トランプ大統領に対する信頼心を今もそのまま持っている。

米国は両首脳の意志とは異なり、逆風を許すことが果たして世界の人民の志向と期待に合致し、自国の利益にも合致するのかを慎重に確かめるべきであろう。

(了)

●「朝鮮中央通信社」(日本語) http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=jp

●エルファテレビ  http://www.elufa-tv.net/


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