日本の自由民主党代表団と日本社会党代表団は、1990年9月24日から28日まで朝鮮民主主義人民共和国を訪問した。
      朝鮮労働党中央委員会総書記である金日成主席は、自由民主党代表団と日本社会党代表団に接見した。
      接見の席上、金丸信団長と田辺誠団長は、金日成主席に、自由民主党の海部俊樹総裁の親書と日本社会党の土井たか子中央執行委員長の親書を伝えた。
      訪問期間中、党中央委員会書記金容淳を団長とする朝鮮労働党代表団、衆議院議員金丸信を団長とする自由民主党代表団、中央執行副委員長田辺誠を団長とする日本社会党代表団間の三党共同会談が行われた。
      三党は、自主・平和・親善の理念にもとづいて朝日両国間の関係を正常化し発展させることが両国人民の利益に合致し、新しいアジアと世界の平和と繁栄に寄与すると認め、つぎのように宣言する。
  1. 三党は、過去に日本が36年間朝鮮人民に与えた大きな不幸と災難、戦後45年間朝鮮人民に被らせた損失について、朝鮮民主主義人民共和国に対し、公式的に謝罪を行い十分に補償すべきであると認める。
      自由民主党海部俊樹総裁は、金日成主席に伝えたその親書で、かつて朝鮮に対して日本が与えた不幸な過去が存在したことにふれ、「そのような不幸な過去につきましては、竹下元総理が、昨年3月国会におきまして深い反省と遺憾の意を表明しておりますが、私も内閣総理大臣として、それと全く同じ考えである」ということを明らかにして、朝日両国間の関係を改善する希望を表明した。
      自由民主党代表団団長である金丸信衆議院議員も、朝鮮人民に対する日本の過去の植民地支配に対して深く反省する謝罪の意を表明した。
      三党は、日本政府が、国交関係を樹立することに関連して、過去36年間の植民地支配とその後の45年間朝鮮民主主義人民共和国の人民に被らせた損害に対して十分に補償すべきであると認める。
  2. 三党は、朝日両国間に存在している不正常な状態を解消し、できるだけ早い時期に国交関係を樹立すべきであると認める。
  3. 三党は、朝日両国間の関係を改善するために政治、経済、文化などの各分野で交流を発展させ、当面は、通信衛星の利用と、両国間の直行航路を開設することが必要であると認める。
  4. 三党は、在日朝鮮人が差別されず、その人権と民族的諸権利と法的地位が尊重されるべきであって、日本政府は、これを法的にも保証すべきであると認める。
      三党は、また、日本当局が朝鮮民主主義人民共和国と関連して、日本のパスポートに記載した事項を取り除くことが必要であるとみなす。
  5. 三党は、朝鮮は一つであり、北と南が対話を通じて平和的に統一を達成することが朝鮮人民の民族的利益に合致すると認める。
  6. 三党は、平和で自由なアジアを建設するために共同で努力し、地球上のすべての地域で核の脅威をなくすことが必要であると認める。
  7. 三党は、朝日両国間の国交樹立の実現と懸案の諸問題を解決するための政府間の交渉が本年11月中に開始されるよう強く働きかけることについて合意した。
  8. 三党は、両国人民の念願とアジアと世界の利益に即して、朝鮮労働党と自由民主党、朝鮮労働党と日本社会党間の関係を強化し、相互協調をさらに発展させることについて合意した。
  9. 1990年9月28日 平 壌
    朝鮮労働党を代表して
    金 容淳
    自由民主党を代表して
    金丸 信
    日本社会党を代表して
    田辺 誠